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データ分析や機械学習やスクラムや組織とか、色々つぶやくブログです。

チームの振り返りにワールドカフェが良かった件

インフルエンザA型にかかりまして、出勤もイベント参加もできないのでブログでも書かせていただきます。 先日、チームで行った振り返りのフレームワークで、ワールドカフェがとても良かったので皆さんにもシェアしたいと思います。

振り返りの意義

私たちのチームはスクラムフレームワークをベースとして日々のタスクや開発を進めています。スクラムでは経験主義に基づく考え方を取っています。経験主義とは、Wikipediaによると

人間の全ての知識は我々の経験に由来する、とする哲学上または心理学上の立場

経験論 - Wikipedia

と定義されています。すなわちスクラムでは、チームが知識を積んで成長していく/未来の不確実性を少なくしていくために、自分たちの「経験」から学ぶことを非常に重要視していて、そのために「振り返り」と、その結果をチームに「適応する」ことが非常に重要です。

振り返りの対象にも、いくつかあります。仕事の「プロセス」や「成果」、チームの「関係性」に対する振り返り等です。この振り返りをおこなうイベントとして、スクラムではスプリントレビューやレトロスペクティブ等のイベントが用意されています。

スクラムの詳細については他の記事に詳細をお任せするとして、自身のスクラムの進め方については下記記事をご覧いただけるとわかると思います。

ishitonton.hatenablog.com

ワールドカフェとは

今回、チーム内の長期間にわたるプロジェクトが一段落したため、このプロジェクトに関する振り返り手段として、今回ワールドカフェを試してみました。

ワールドカフェは、チーム内で対話を行うための方法の1つで、その名前のとおり、カフェにいるような非常にリラックスした雰囲気の中、テーマについてチーム内で会話をするフレームワークです。 話し合いを行うと、最終的に1つの合意形成を得ることを目標とすることが多いですが、ワールドカフェでは会議の結果として合意形成を得ることをゴールとしていません。 あくまで、話しやすい雰囲気の中で、チームメンバー個々人の考えや価値観を共有し、相互理解を深化することが目的になります。

ワールドカフェは以下の手順で進めます。

  • チームを3~5人程度のテーブルに分けます。テーブル単位での対話を行います。
  • 各テーブルには、マジックペン模造紙を準備し配備します。議論の補助として、好き勝手に使ってもらいます。
  • 1回の話し合いのサイクルを20分とし、それをメンバーを移動させながら3回繰り返します。
  • 各テーブルに1人ホスト役を設けます。ホスト役はテーブルを移動しません。
  • 2回目では、ホスト役以外の人が他のテーブルに散らばって移動し、新たなメンバーで同じテーマについての話し合います。ホスト役の人は、1回目のメンバーで話し合った内容について、模造紙等を利用しながら新たなメンバーに共有します。移動してきたメンバーは、元のテーブルで話しあった内容を共有し、さらに話し合いを進めます。
  • 3回目では、全員が1回目のテーブルに戻り、他のテーブルでの会話をシェアしながら、さらに話し合いを進めます。

以上が、ワールドカフェの手順です。上記のようなテーブルをミックスさせる進め方をとることで、大人数のチームでも、他のテーブルの人の考えや価値観を吸収できるような配慮がされています。

より詳しくは、下記ブログが参考になります。

www.kaonavi.jp

私たちのチームでは、リラックスした雰囲気づくりの一環ついて、実際にカフェでコーヒーのポットをレンタルし、コーヒーを飲みリラックスしながら話し合いを行いました。

また、テーマとしては、「〇〇プロジェクトの成果・プロセス・人間関係で、良かったこと・悪かったこと・その他何でも」といった感じで、非常におおざっぱなテーマ設定をしました。

以下では、やってみた感想を記載します。

運営の難易度が低い

ワールドカフェは、非常に運営の難易度が低く、失敗しずらいことがメリットの1つです。世の中には様々なディスカッションのフレームワークがありますが、成功失敗のカギをファシリテーションが握ることが少なくありません。うまくファシリテートできないと議論が活性化せずに取り組み自体が失敗に終わるケースが多いです。ワールドカフェは、ファシリテーションをほとんど必要としないので、失敗する確率は低いといえます。

また、必要とするものも模造紙とマジックペン、あとはリラックスするためのコーヒーくらいなもんで、準備も少ないです。

リラックス。安心して環境で本音に近いトーク

カフェの雰囲気により全員がリラックスして本音に近い内容を発信しやすい環境となります。また、合意形成を得るものではないので、意見を集約しなきゃ!とかグループディスカッションでありがちなsomethingがないのも本音トークができる要因です。

また、KPT法とかは非常に堅苦しく、ついつい暗くなりがちですが、ワールドカフェは比較的ポジティブに対話ができると思います。

大人数でも議論の内容をミックスできる

大規模なチームで、このようなディスカッションをする場合、各テーブルの議論の内容を把握できないことが多々あります。ワールドカフェは、各テーブルでの話し合いの内容を、席替えにより効率的にミックスさせるフレームワークとなっているので、自ずと色々な考え・価値観を吸収できます。

どういったチームに効果的か。

ワールドカフェは、まだ関係性が成熟していないチームでも、自己組織化されているチームに対しても効果的であると考えます。

ワールドカフェでは、普段チームでしゃべらない人とも話すことができるので、チームビルディングの観点でも効果的です。こんなこと考えていたんだ!というような気づきを得ることができると思いますし、相手の考えを知れると、チームの関係性は高まっていきます。

例え、既にチームの関係性は成熟し、自律的に行動が可能な自己組織化チームにとっても効果的だと思います。ワールドカフェは合意形成を得るものではありませんが、自己組織化チームであれば、対話の結果を各人が持ち帰り、持ち帰った内容を能動的にチームに反映していけるものと考えます。

良かったら試してみてください。