自分がとても勉強になった書籍の1つに、『Eelastic leadership - 自己組織化チームの育て方』があります。個人的にO'Reilly出版の中で最も取っ付きやすい本と思っており、多くの方に読んでほしい内容です。
この書籍では、(ソフトウェア開発を中心に)チームのフェーズを3つに分けて考えており、各フェーズによってリーダーシップのとり方を柔軟に変えるべきと著者の経験から述べています。本ブログでは、各フェーズにおける具体的なテクニックについては書籍を読んで頂くこととし、その全体的な考えた方をシェアします。
なおこの本は、以前にTwitter上で自身が何度でも読み直したい本の1つとして紹介させていただきました。
過去に読んだ本で、何度でも読み直したいと思っている私のバイブル本。
— いしお@データ分析ブログ執筆中 (@Ishitonton) 2018年11月5日
1. 学習する組織
2. アジャイル開発とスクラム
3. Elastic Leadership
4. ビッグデータを支える技術
5. 筋トレが最強のソリューションである
6. コジコジ 1巻
今現在だと、上記書籍に加えて、エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリングとデータサイエンティスト養成読本 ビジネス活用編の2つが新たに加わりました。
この書籍が良いと考える理由
私はスポーツも好きなので、ベテランサッカー選手や野球選手が口数少なくとも行動でチームに刺激を与える。または、ベンチメンバーに入れなくても裏方でチームをサポートし鼓舞する、という話はよく聞きます。
最も多く語られるリーダーシップは、リーダー自身の性格やポジションに起因するリーダーシップであり、当然、リーダーシップ像に最も影響を与える要素かと考えています。
一方で、チームは安定している時も炎上しているときも在ります。組織の中でのリーダーの振る舞い方はStaticなものではなく、チームの状態によってリーダーの振る舞い方って変わるよねというのが、自身の経験と照らし合わせたときに最もしっくりくる考えでした。
本書籍はソフトウェア開発というフィールドには立っていますが、より柔軟性をもったリーダーシップを持つ考え方として、チームの状態に合わせて、リーダーの振る舞い方を柔軟に変えていこう、という立ち位置にいる書籍であり、ある意味、チームを良い状態にするために自身の振る舞いを柔軟に演じ変えるという考え方に立っています。
私自身が読了したリーダーシップ関連の書籍量が少ないので申し訳ないのですが、体系的に柔軟なリーダーシップ論について語っている書籍として、非常に納得感があるものでした。
チームのリーダーの役割
本書籍では、チームのリーダーの役割は、優れた優秀な人材が育つのを助けることであると定義しています。つまりチームメンバーの成長を促進することを指針とし、スキルを身に付けるために新しい事へと挑戦させなくてはいけません。
これは、リーダー自身が問題解決を行うことをやめなければならないということであり、チームの問題をリーダーがすべて解決しているようであれば、ボトルネックはリーダー自身であるとしています。理由はもちろん、チームで新しいことを学ぶのがリーダーだけになってしまいますし、リーダーが不在になった途端に、チームの活動は停止します。
ただし、チームに新しいことを学ばせることが常に良いとは限らない。時にチャレンジは理にかなっていない、というのが著者が論じている内容です。
3つのチームフェーズ
本書籍では、下記図の3つのフェーズにチームを分割し、どのリーダーシップが必要かを定義します。
チームのフェーズ
- 学習モード
- サバイバルモード
- 自己組織化モード
リーダーシップのとり方
- 指揮統制型
- コーチ/独裁者
- ファシリテーター
サバイバルモード
このモードは、チームに学習する時間が十分にない状態であり、この状態をサバイバルモードと定義しています。リーダーの目標はチームが成長するように指導することです。これを達成するためには学ぶ時間を作る必要があります。
このフェーズでの戦略は、ゆとり時間を作るために、指揮統制型のリーダーシップを発揮し、一刻も早くサバイバルフェーズからチームが抜け出すことです。
指揮統制型リーダー下では、メンバーは新しい方法を学んだり責任感を持ったり、ルールを逸脱してチャレンジしたりする余地はほとんどありません。チームは、火消しに追われている状態であり、現状に対処するための必要スキルを学ぶ時間が十分に持てません。この場合には、チームリーダーがチームに道筋を直接示し、一刻も早くこのフェーズから抜け出すことを目指します。
学習モード
十分なゆとり時間があり、その時間を使って学習や検証を行っている場合、チームは学習モードにいると言えます。ここでのリーダーの目標は、自分たちの問題を自力で解決できるように教え、挑戦させることによってチームを自己組織化チームへ育てることです。
このフェーズでは、リーダーはコーチ型のリーダーシップを発揮します、チームに意思決定の仕方を教え、仮に学ぶべき教訓がある限りには、チームが誤った決定を下すことも許容します。
ゆとり時間を利用して、新しいスキルを獲得したり、技術的負債を取り除くことを経験のないメンバーと一緒に取組むのがよいでしょう。誤った決定により、火消しが必要になれば、場合によっては柔軟に「指揮統制型」のリーダーに切り替えます。
自己組織化モード
このモードでは、自身がノートPCの電源を切って数日間仕事を放置できる状態であれば、自己組織化フェーズであると言っています。すなわち、チームがリーダーの助けなしに自分たちの問題を解決できるしていける優れた状態であります。
このモードでは、リーダーはファシリテーターとなりその状態を維持することと、現状を処理するチームの能力に注意を払います。コーチがメンバーを立ち止まらせて何かを学ばせるのに対して、ファシリテーターは現状の環境や条件、目的や制約といったものが、チームに適した状態になっているか気を配ります。
ファシリテーターはチームの問題を解決しないが、代わりにチームが自立的に問題解決してくれると信頼します。
チームがフェーズ間を移動するとき
チームが今どのようなリーダーシップを必要とするフェーズかを認識することが非常に重要です。そのために、「チームの問題とその問題解決に必要な知識とスキル」、「ゆとり時間の量」を適切に把握する必要があります。
まとめ
自身のリーダーシップのスタイルが、チームのニーズから外れていると認識できないようなら、リーダー失格である。という書籍内の言葉を、私自身肝に銘じておきます。
書ききれたいないことはたくさんあるので、ぜひ読んでみてください。